詰め物(インレー)と被せ物(クラウン)は、削った歯の噛み合わせ機能を回復させるために用いる修復物です。削った範囲が小さい穴であれば詰め物で補います。むし歯が進行していて失った部分が大きい場合や、歯の神経を取る処置を行った場合などでは、上部全体を覆う被せ物で補います。
歯科治療用の白いプラスチック素材です。ペースト状のコンポジットレジンを修復する部分に直接、隙間なく詰めて表面を整え、レジンを硬化させる専用LED照射器で固めるタイプの詰め物です。
銀色の合金製の詰め物も一般的には銀歯と呼ばれています。金属ですからプラスチックなどに比べると強度が高く、硬い物を食べても欠けたり割れたりする心配はありません。基本的には保険適用の治療に用いられます。
金属ですが、劣化しにくい素材であり、歯茎の黒ずみや変色を起こすことがなく、保険診療の銀歯とは異なる特徴があります。もちろん金属ですので硬く、噛み締めや歯ぎしりの癖がある方の奥歯にも安心して使用できます。また、高い精度で合わせることができますので、むし歯が再発する二次カリエスを起こしにくい点も大きなメリットとなっています。
セラミック製の詰め物は、汚れやプラーク(歯垢)が付着しにくく、劣化や変色も起こしにくく、むし歯の再発予防と見た目の美しさを兼ね備えています。ただし、強く噛む奥歯の詰め物として使用した場合、まれに割れてしまう場合があります。
人工ダイヤモンドと呼ばれている硬い素材で、天然歯に近い透明感のある白さを併せ持っています。メリットの多い素材ですが、銀歯に比べると歯を削る量がわずかに多くなります。
銀色の合金でできた被せ物で、強度が高く、かむ力の強い奥歯に適しています。
表から見える部分に白いプラスチック素材であるレジンを貼り付けた金属製の被せ物です。前歯のクラウンを保険適用で作る場合、この硬質レジン前装冠が使われることが多くなっています。
プラスチック素材のレジンとセラミックを合わせてハイブリッドレジンで作られた、白い被せ物です。最初は保険適用外の素材でしたが、2014年に先進医療から保険診療に組み込まれています。ただし、保険適用されるのは1部の歯となっています。
内側まで全て白い陶製のセラミックでできたクラウンです。セラミッククラウンにはいくつか種類がありますが、オールセラミックはその中で最も自然な美しい白さを実現できます。精度が高く、接着剤で歯にぴったり被せることができますので、隙間から唾液や細菌が入りにくく、中でむし歯が再発してしまうリスクを抑えられます。
金属製の被せ物の外側をセラミックで覆った人工歯です。中が金属ですので強度がありますが、表面はセラミックで見た目が良く、プラスチックのように変色もしませんので、人気のあるクラウンです。
人工ダイヤモンドと呼ばれる強靱で透明感のある白い素材を使ったクラウンです。透明感のある白さはセラミックよりも天然歯に近い自然な美しさがあります。また、硬い素材ですが金属を一切使用していませんので、歯茎の変色もなく、金属アレルギーのある方にも安心して使えます。
貴金属を使って作られたクラウンの総称で、金合金やプラチナ合金などがあります。金属ですが適度な柔らかさがあって歯との隙間のない高精度のクラウンを作ることができます。隙間から細菌などが入り込んで中でむし歯を再発させるリスクを低く抑えられます。ゴールドクラウンは様々な被せ物素材の中でもトップクラスの適合率を誇っています。
むし歯除去
健康な部分をできるだけ損ねないよう、マイクロスコープや拡大鏡を用いて丁寧にむし歯に冒された部分を取り除きます。神経まで冒されている場合には根管治療をしっかり行いますので、複数回の通院が必要になります。
型取り、詰め物・被せ物の作成
むし歯部分をきれいに除去できたら、形を整えてから修復物を作るための型を取ります。なお、むし歯が深くまで進行していた場合には、被せ物と歯がしっかり付着するよう土台を作る処置が必要になり、土台ができてから修復物のための型取りとなります。
詰め物・被せ物の装着
完成した詰め物や被せ物を実際に入れ、噛み合わせの微調整を丁寧に行います。高さなど噛み合わせに問題がなければ接着剤で装着します。隙間ができてしまうとそこからむし歯が再発してしまいますので、慎重に接着させます。
詰め物や被せ物が取れてしまった場合、その詰め物や被せ物を持って歯科医院を受診してください。機能的に問題がなく、そのまま接着し直して使えるケースがありますので、必ずお持ちください。ご自分で接着するとわずかな隙間ができてそこからむし歯が再発するリスクがとても高くなってしまいます。歯科医院では歯と詰め物・被せ物をきれいにした上で、専用の接着剤を使って隙間ができないように精度の高い接着を行っています。
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